プロジェクトマネジメントに役にたつ、モデル、方法、作成物

PM Handbook by Repsona
プロジェクトマネジメントに役にたつ、モデル、方法、作成物

プロジェクトに合わせて方法論を適用するテーラリングとは、プロジェクトの性質にあったプロセスや作業環境を構築することでした。プロジェクトはその大きさや深刻度の度合いによって、手順や成果物を調整することが大切だということがわかりました。

PM Handbook では、最後に、プロジェクトマネジメントに役にたつ、モデル。方法。作成物を紹介します。これらも、すべてがここで紹介されているわけでもなく、また、すべてを利用することが模範的というわけでもありません。プロジェクトの性質に合わせ、役にたつものを選び利用することで、プロジェクトのパフォーマンスを向上させることができるでしょう。

モデル、方法、作成物とは?

モデル、方法、作成物とはそれぞれどういうものなのでしょうか。PMBOK では以下のように定義されています。

モデル

モデルとは、プロセス、フレームワーク、または現象を説明するための思考戦略である。

方法

方法とは、成果、アウトプット、所産、またはプロジェクトの成果物を得るための手段である。

作成物

作成物とは、テンプレート、文書、アウトプット、またはプロジェクトの成果物である。

それぞれ、「考え方」「やり方」「役にたつもの」と言い換えることができそうです。これらの意味を理解した上で、モデル、方法、作成物について、プロジェクトマネジメントでよく利用される、役にたつものを紹介していきます。個別内容の詳細については、別の記事で詳しく紹介することとして、ここでは入口として、外観を紹介することとします。

よく使用される「モデル(考え方)」

モデルは、複雑な現実をシンプルで単純化した物事としてとらえ、実際の作業を最適化するためのアプローチを示してくれます。現実の世界の何がどのように機能しているのかを説明するのに役に立ちます。例えば、リーダーのあるべき姿、コミュニケーションを取るにあたって気をつけること、メンバーの考え方ややる気、チーム内での衝突など、現実世界では複雑で落とし所のない物事をシンプルな考え方に置き換えて、その向き合い方を提示してくれます。

プロジェクトマネジメントを念頭に置いて開発されたモデルや、より一般的なモデルも存在します。ここでは詳細は説明しませんが、PMBOK で紹介されているものをキーワードとして列挙します。必要に応じて深く学ぶことで、プロジェクトに役にたつ「考え方」を得ることができます。PM Handbook でも、活用のしやすさや難解さなどを考慮し、今後、また記事で紹介していくことを検討しています。

  • 状況対応型リーダーシップ・モデル
    • SLII
    • OSCAR
  • コミュニケーションモデル
    • 異文化コミュニケーション
    • コミュニケーション・チャネルの有効性
    • 実行におけるへだたりと評価におけるへだたり
  • 動機付けモデル
    • 衛生要因と動機付け要因
    • 内発的動機付けと外発的動機付け
    • 欲求理論
    • X理論、Y理論、Z理論
  • チェンジ・モデル
    • 組織のチェンジマネジメント
    • ADKAR
    • 変革を導くための8ステップのプロセス
    • トランジション
  • 複雑さのモデル
    • カネヴィン・フレームワーク
    • ステイシー・マトリックス
  • プロジェクト・チームの育成モデル
    • タックマンの成長段階
    • ドレクスラー/シベットのチーム・パフォーマンス
  • その他のモデル
    • コンフリクト
    • 交渉
    • 計画
    • プロセス群
    • セイリエンス

よく使用される「方法(やり方)」

方法とは、成果やアウトプットを得るための手段です。プロジェクト作業をサポートするためによく使われる方法の例を示します。例えば、データの収集や見積り、会議など、通常プロジェクトマネジメント内で行われる様々なコトに関する、その「やり方」を示しています。

集めたデータをどのように利用するのか、会議はどのように進めると効果的なのかなど、これまで行われた数々のプロジェクトマネジメントの成功や失敗から、より効率的な進め方を学ぶことができます。ここでは詳細は説明しませんが、PMBOK で紹介されているものをキーワードとして列挙します。

  • データ収集・分析方法
    • 代替案分析
    • 前提条件・制約条件分析
    • ベンチマーキング
    • ビジネス正当性分析
      • 回収期間
      • 内部收益率
      • 投資收益率
      • 正味現在価値
      • 費用便益分析
    • チェック・シート
    • 品質コスト
    • デシジョン・ツリー分析
    • アーンド・バリュー分析
    • 期待金額価値
    • 予測
    • インフルエンス・ダイアグラム
    • ライフサイクル・アセスメント
    • 内外製分析
    • 発生確率・影響度マトリックス
    • プロセス分析
    • 回帰分析
    • 根本原因分析
    • 感度分析
    • シミュレーション
    • ステークホルダー分析
    • SWOT分析
    • 傾向分析
    • バリュー・ストリーム•マッピング
    • 差異分析
    • What-Ifシナリオ分析
  • 見積り方法
    • 親和性グルーピング
    • 類推見積り
    • ファンクション・ポイント
    • 複数点見積り
    • バラメトリック見積り
    • 相対見積り
    • 単点見積り
    • ストーリー・ポイント見積り
    • ワイドバンド・デルファイ
  • 会議とイベントの方法
    • バックログの洗練
    • 入札説明会
    • 委更管理委員会
    • デイリー・スタンドアップ
    • イテレーション・レビュー
    • イテレーション計画
    • キックオフ
    • 教訓
    • 計画
    • プロジェクト完了
    • プロジェクト・レビュー
    • リリース計画
    • レトロスペクティブ
    • リスク・レビュー
    • 状況
    • 運営委員会
  • その他の方法
    • インパクト・マッピング
    • モデリング
    • ネット・プロモーター・スコア
    • 優先順位付けの仕組み
    • タイムボックス

よく使用される「作成物(役にたつもの)」

作成物とは、テンプレートや文書、アウトプットそのものを表します。プロジェクトではその活動家庭でさまざまなモノが生まれます。メインの成果物もあれば、その副産物として生まれるものもあります。プロダクトを開発するのであれば、設計図が必要であるのと同じように、材料を調達するためのリストや、調達を証明する書面なども、作成物にあたります。2-3人でのお菓子作りに例えると、レシピ、お買い物リスト、レシート、役割分担表、出来上がったお菓子などがこれにあたります。

ここでは詳細は説明しませんが、PMBOK で紹介されているものをキーワードとして列挙します。詳細は別の記事で紹介を検討します。ご自身の役割や、その時必要なアウトプットをイメージしながら、過去のさまざまなプロジェクトや仕事で活躍してきた作成物を参考に深く学ぶことで、より良い成果を発揮することができるようになるでしょう。

  • 戰略文書
    • ビジネス・ケース
    • プロジェクト概要
    • プロジェクト憲章
    • プロジェクト・ビジョン記述書
    • ロードマップ
  • ログと登録簿の作成物
    • 前提条件ログ
    • バックログ
    • 変更ログ
    • 課題ログ
    • 教訓登録簿
    • リスク調整済みバックログ
    • リスク登録簿
    • ステークホルダー登録簿
  • 計画の作成物
    • 変更管理計画書
    • コミュニケーション・マネジメント計画書
    • コスト・マネジメント計画書
    • イテレーション計画書
    • 調達マネジメント計画書
    • プロジェクトマネジメント計画書
    • 品質マネジメント計画書
    • リリース計画書
    • 要求事項マネジメント計画書
    • 資源マネジメント計画書
    • リスク・マネジメント計画書
    • スコープ・マネジメント計画書
    • スケジュール・マネジメント計画書
    • ステークホルダー・エンゲージメント計画書
    • テスト計画書
  • 階層チャートの作成物
    • 組織ブレークダウン・ストラクチャー
    • プロダクト・ブレークダウン・ストラクチャー
    • 資源ブレークダウン・ストラクチャー
    • リスク・ブレークダウン・ストラクチャー
    • ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー
  • ベースラインの作成物
    • 予算
    • マイルストーン・スケジュール
    • パフォーマンス測定ベースライン
    • プロジェクト・スケジュール
    • スコープ・ベースライン
  • 視覚的データと視覚的情報の作成物
    • 親和図
    • バーン・チャート
    • 特性要因図
    • 累積フロー・ダイアグラム
    • サイクル・タイム・チャート
    • ダッシュボード
    • フローチャート
    • ガント・チャート
    • ヒストグラム
    • 情報ラジエーター
    • リード・タイム図
    • 優先順位付けマトリックス
    • プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図
    • 要求事項トレーサビリティ・マトリックス
    • 責任分担マトリックス
    • 散布図
    • Sカーブ
    • ステークホルダー関与度評価マトリックス
    • ストーリー・マップ
    • スループット・チャート
    • ユースケース
    • バリュー・ストリーム・マップ
    • ベロシティ・チャート
  • 報告の作成物
    • 品質報告書
    • リスク報告書
    • 状況報告書
  • 合意と契約
    • 定額
    • 実費償還
    • タイム・アンド・マテリアル
    • 数量未確定(IDIQ)
    • その他の合意
  • その他の作成物
    • アクティビティ・リスト
    • 入札文書
    • メトリックス
    • プロジェクト・カレンダー
    • 要求事項文書
    • プロジェクト・チーム憲章
    • ユーザー・ストーリー

「モデル、方法、作成物」まとめ

プロジェクトマネジメントに役にたつ、モデル、方法、作成物についてみてきました。いずれもプロジェクトマネジメントのあらゆる場面でプロジェクトをよりよく前に進めたり、改善したりするのに役にたつでしょう。PMBOK 第7版ではプロジェクトの各側面で、このモデルを利用すべき、この方法で、この作成物をつくるべき、という案内を全般的に行っていません。これはプロジェクトマネジメントでは、プロジェクトのの各ステップで、型通りのインプットとアウトプットを基準に作業を進めることが、必ずしも良い結果につながるわけではないというひとつの答えが見えたのだと思います。

「プロジェクト」は生き物です。コントロールしにくく、不確実性に満ちています。知識や手法だけで向き合っても必ずしもうまくいくものではなく、なんどでも経験し、失敗することが糧になっていきます。

どのような仕事も、その中心は「人」です。「人」が活躍できるプロジェクトを、あなたの手で導いてください。

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