プロジェクトが効果的にパフォーマンスを発揮するために忘れてはいけない8つのこと

PM Handbook by Repsona
プロジェクトが効果的にパフォーマンスを発揮するために忘れてはいけない8つのこと

前章では、プロジェクトマネジメントの原理・原則を詳しく見ていきました。プロジェクトマネジメントに必要な考え方、心構え、価値観といったものを理解できたと思います。知識やツールさえあればプロジェクトを成功に導けるわけではありませんでした。いっぽうで、心構えは最も重要ですが、心構えだけではプロジェクトを成功させられるわけでもありません。

プロジェクトが成功に向かって進むためには、よりよいパフォーマンスを発揮する必要があります。よりよいパフォーマンスといわれても漠然としていて、なにをどのように見れば良いのかわからないかと思います。「PMBOK」では、このプロジェクトにおけるパフォーマンスについて、8つの領域を定義しています。

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プロジェクト・パフォーマンス領域

プロジェクトが効果的にパフォーマンスを発揮するために認識しておかなければいけない領域が8つあり、それを「プロジェクト・パフォーマンス領域」と呼びます。

  • ステークホルダー
  • チーム
  • 開発アプローチとライフサイクル
  • 計画
  • プロジェクト作業
  • デリバリー
  • 測定
  • 不確かさ

ここに示した領域は、どれかひとつと個別に向き合うことはできず、プロジェクト活動期間を通じて常に同時並行で認識し対応していかなければいけないものです。それぞれの領域について、どのような活動が必要となってくるかは、個別の組織やプロジェクトや関係者など、さまざまな状況や条件によって変わってきます。どれを重視して、どのように対処すれば良いというものではなく、これらをプロジェクトのパフォーマンスにおける重要な領域(項目)であると認識するところがスタートです。

なお、ここでの「開発」とはシステム開発に限らず、商品やサービスや品物などを創り出すことを指しています。システム開発のような仕事に限らず、プロジェクトマネジメントの考えかたは適用することができます。

さて、それぞれのパフォーマンス領域について、それがどのようなものなのか、そしてどのように向き合うべきなのか、効果的な向き合い方などを見ていきましょう。

ステークホルダー・パフォーマンス領域

「ステークホルダー」とは 「プロジェクトに関わる利害関係者」と言い換えることができます。プロジェクトは人によって、人のために行われます。ステークホルダーと良い関係を築き、両者の満足度を高めることで、プロジェクトのパフォーマンスにとって良い影響を与えられるでしょう。

ステークホルダーは、具体的には、プロジェクトチームのチームメイト、プロジェクト活動が行われる会社や組織やその部門やメンバー、組織を取り巻く外部の組織やその担当者、クライアント、顧客、エンドユーザーなどです。数人のステークホルダーの場合もあれば、数百万人が関係する可能性もあります。

ステークホルダーと良好な関係を気づくために、効果的なステークホルダー・エンゲージメントを実施しましょう。エンゲージメントとは「深い関係性」という意味で、以下のようなサイクルでプロジェクト開始から終了まで、継続的に続けます。

→ 特定 → 理解 → 分析 → 優先順位付け → エンゲージメント → 監視 → 特定 → ...

まず、誰がステークホルダーなのかを明確にします。そしてそのステークホルダーを理解・分析します。全てのステークホルダーに同様に向き合うことはできません。権力があったり、利害のあるステークホルダーにフォーカスして優先順位をつけます。各ステークホルダーとは深い関係性を築けるよう、継続的なコミュニケーションをとります。プロジェクト活動期間中、ステークホルダーは変化します。新しいステークホルダーを特定すること、また、各ステークホルダーとのエンゲージメント(関係の深さ)を計測し、関係性が良好であるかを評価します。

チーム・パフォーマンス領域

「チーム(プロジェクトチーム)」とは、プロジェクトの目標を達成するためにプロジェクトの作業を実施する集団のことです。チームがパフォーマンスを出していれば、プロジェクトもパフォーマンスを発揮しているはずです。チームのパフォーマンスはどのようにすれば向上するでしょうか。マネジメントとリーダーシップが重要な鍵です。

マネジメントとは、プロジェクト活動のための手段に重点を置いています。例えば、手順の確立、作業の計画、調整、監視などです。リーダーシップは人に焦点をあてます。人に動機づけをし、話を聞き、権限を与えるといった活動が含まれます。このどちらも重要といえます。

チームがパフォーマンスを発揮するためには、チームが成長することが重要です。そのためには、ビジョン・目標をチーム全体が認識していること、役割と責任が明確になっていること、チームの仕事が何なのかが明確になっていること、チームとしてのルールやマナーなどが共有されていること、そして各自が成長できることが必要です。

また、パフォーマンスが高いチームには、いくつかの共通点があります。オープンで安心できるコミュニケーションができる環境であること。プロジェクトの目的を理解し、共感していること。プロジェクトの成果物に対して、自分達のものであるという「オーナーシップ」を感じていること。細かく管理されるのではなく、裁量があり自分で意思決定をする権限が与えられていると感じていること、などです。

開発アプローチとライフサイクル・パフォーマンス領域

「開発アプローチ」とは、プロジェクトの成果物(プロダクトやサービスなど)をどのように作って発展させるのか、その方法のことです。予測型、適応型、またはそれらのハイブリッドなどのアプローチがあります。ライフサイクルとは、プロジェクト活動の中で行われるフェーズの流れを表したもので、例えば「計画→設計→構築→テスト→展開→集結」といったものを指しています。選択した開発アプローチによって、ライフサイクルは形を変えます。

予測型アプローチは、プロジェクトの開始時に成果物の要求事項が全て出揃う場合に有効です。プロジェクトの初期段階で不確かなことはできるだけ少なくし、事前に計画の大部分を立てます。作業の大部分は初期計画に従い実行していきます。

それに対して、適応型アプローチは要求事項の不確かさや変動性が高く、変化が多い場合に有効です。初期にビジョンがあり、ユーザーフィードバックや想定外のイベントなどで要求がより詳細になったり、変更されたりします。イテレーションと呼ばれる定期的に繰り返す開発期間中に、残りのタスク(バックログ)に優先順位をつけ、協働して開発していきます。

ハイブリッドアプローチはこれらを組み合わせたもので、両方の性質を持ちます。ハイブリッドアプローチの例としては、プロダクトを適応型アプローチで開発しながらも展開は予測型で行う場合などです。また、成果物に、予測型アプローチを作って開発される成果物と、適応型アプローチを使って開発される成果物の2つがあるプロジェクトなどです。

計画・パフォーマンス領域

「計画」とは、プロジェクトの成果物を作るまでの道筋を明らかにし、そのための方法や手段を定義することです。どのような開発アプローチでいくのか、いつどのように成果物を提供するのか、時間やコストを見積もってスケジュールを立て、予算を合意します。

また、計画の段階で、プロジェクトチームの編成、コミュニケーションの相手と方法、物的資源(人以外に調達しなければいけない物やソフトウェア、環境など)の明確化、調達時期や方法、変更が発生した場合の対処法、メトリックス(測定が必要な指標)の明確化なども考慮しておく必要があり、計画そのものが他のプロジェクトと整合性の取れた状態であるかの確認も必要です。

プロジェクト作業・パフォーマンス領域

「プロジェクト作業」とは、プロジェクトにおけるプロセスを確立することと、プロジェクトチームがやるべきことに注力できるようにするための活動です。ひとつひとつのタスクそのものではなく、タスクが効率的で効果的に行われるように全体を調整するための活動といえます。

プロセスとは、意思決定のための手続きや情報共有のためのドキュメント作成や合意形成のための会議のことなどを指します。プロジェクトが大規模であったり重要になるほどプロセスは多くなる傾向にあります。プロジェクトにとってそのプロセスは本当に必要なのかを検証し、ムダを省くことが重要です。

また、プロジェクトチームがやるべきことに注力できるようにします。チームが何に注力すべきかを明確にし、その観点を維持すること。チーム内のコミュニケーションが円滑で、エンゲージメントを高く維持すること。モノ、人のリソースを確保すること。新しい作業と変更を監視すること。そして、プロジェクト全体を通して継続して学習が行われるように、知識の共有を促すことです。

デリバリー・パフォーマンス領域

「デリバリー」とは配達、配送、納入という意味です。プロジェクトにおけるデリバリーとは提供、納品という意味合いになりそうです。デリバリーに関するプロジェクト活動とは、プロジェクトが実現しようとしている価値、成果物を、正しいスコープで、よりよい品質で提供することに関連した活動のことです。

プロジェクトの目的でもある「価値の実現」は、成果物が「デリバリー」された時に初めて始まります。正しく価値を提供するために、デリバリーが事業の目的と一致しているかを評価する必要があります。成果物が要求を、スコープを、品質を満たしている、価値あるデリバリーが必要です。

測定・パフォーマンス領域

「測定」とは、プロジェクトのパフォーマンスを評価し、必要に応じた対策を講じ、より良いパフォーマンスを維持するための活動です。計画とデリバリーを繰り返す活動を評価し、計画上の数値と実際の数値とを比較することで、現状と期待との差異に対処し、正しい意思決定をするための判断材料となります。

測定をすることで、プロジェクト作業がどれくらいのスピードで進んでいくのかの見通しを立てることができるようになるので、人的リソースや資金の投入計画を見直したり、ステークホルダーに必要な情報を提供したり、プロジェクトが要求を満たす成果物を実現できるかどうかを確認したりすることができます。

不確かさ・パフォーマンス領域

「不確かさ」とは、予測不可能な状態という意味です。どうなるかわからない、やってみないとわからない、状況が不明、将来のことは不明、どのように動くかわからない。また、こうしたものに伴うリスクのことを指しています。怖いですね。

プロジェクトは正しく情報を集め、計画をすれば、必ずその通りにいく、うまくいくというものではありません。むしろ、不確実でどうなるかわからないものと常に向き合いながら、絶えず情報を集め、トラブルが起きても対処する力強さが必要です。

不確かさがあり、失敗の可能性があり、回避できないトラブルがあることを前提にプロジェクトに向き合うことで、リスクへの対処やトレードオフの検討、チーム力の向上に向けた活動を行うことができます。

「プロジェクトが効果的にパフォーマンスを発揮するために」まとめ

プロジェクトが効果的にパフォーマンスを発揮するために認識しておかなければいけない「プロジェクト・パフォーマンス領域」を8つ、みてきました。これらの領域はそれぞれ独立した定義を持ちながらも、相互に関連し、連携しているものです。「チームがよりよい結果を出すために忘れてはいけない8つのこと」と言い換えることができるかもしれませんね。

とくに最後の「不確かさ」の項目は「プロジェクトマネジメントの原理・原則」でも登場した、「複雑さに対処すること」「リスク対応を最適化すること」「適応性と回復力を持つこと」ともつながっていて、現代プロジェクトの複雑さ・不確実さを表しているように思います。

現代プロジェクトマネジメントの本音が集約された「12個のプロジェクトマネジメントの原理・原則」「8個のプロジェクト・パフォーマンス領域」は、不確実なプロジェクトを成功に導く重要なヒントとなりそうです。

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