「プロジェクトマネジメント(プロジェクト管理)」とはいったい何なのでしょうか。
そう、「プロジェクト」を「管理」すること・・です。では、そもそもプロジェクトとは何で、管理とは何をすることなのでしょうか。
一般的な定義と「PMBOK」での考え方を整理し、プロジェクトとは何か、プロジェクトマネジメントとは何か、そしてプロジェクトマネージャーとは何かをみていきましょう。
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「プロジェクト」と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょうか。「これは社運をかけたプロジェクトだ」「このプロジェクトは決して失敗できない」「プロジェクトが炎上していて帰れない」・・なんだかとても大きくて重いもののような、簡単にはコントロールできないもののような印象を受けますね。
ここで辞書にあるプロジェクトの定義をみてみましょう。
企画。計画事業。研究開発計画。
プロジェクトとは企画である、とすると、すこしイメージしていたものと違うような気もしますが、新しい企画が生まれたならば、実現するに向けて計画をし、計画を実行する、と考えると「プロジェクト」と思っているものとは、そういうものかもしれません。
では、プロジェクトマネジメントの知識体系ガイドである「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」では、どのように定義しているのでしょうか。
独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務。
ドラマや映画で耳にする「プロジェクト」とは、まさにこのようなもののようなイメージがありますね。「新しいモノやサービスを作るために行われる、終わりがある仕事」というふうに解釈できそうです。
有期的という言葉を使っていますが、これはどういう意味でしょうか。プロジェクトの中で実行される仕事や、一連の仕事のかたまりには、明確に「始まり」と「終わり」があるということをあらわしています。
そして、プロジェクトは単独で実行されることもあるし、複数のプロジェクトが連動しながら実行されることや、組織や会社全体の戦略的な活動の一部として実行されることもあると定義されています。
定常業務とは「常に内容が同じで変化がない毎日取り組む業務」と定義されています。PMBOKでは、プロジェクトとは対になる言葉として使われています。では、定常業務をプロジェクトと呼ぶのは誤りでしょうか。
これは、言葉の定義をそのまま受け入れるのではなく、チームがその仕事にどのように取り組むかというところから、よく話し合い、定義することが望ましいです。
日々の業務を流れる作業として取り組むのか、それとも振り返りと改善を続け、業務の効率化や課題の可視化を継続的に続けていくのか。こうした取り組みを含むことで、定常業務はプロジェクトとして管理できるものとなっていきます。
「プロジェクト」がどういうものかをみてきました。それでは、プロジェクトを管理する「プロジェクトマネジメント」とは、いったいどのようなものでしょうか。
ここでも「PMBOK」での定義をみてみましょう。
プロジェクトの要求事項を満たすために、知識、スキル、ツールと技法をプロジェクト活動へ適用すること。
プロジェクトの要求事項とは、プロジェクトのゴールとしてどのようなモノやことが望まれているかということですね。つまり、プロジェクトのゴールに向かうために、知識やスキル、ツールを活用し、プロジェクトのための作業を導くこと、と読むことができそうです。
「プロジェクト」を「管理」する、と聞くと、プロジェクトという得体の知れないものの状態、例えば期限やコストやリスクなどを、なんらかの方法で管理するような印象をうけますが、それ自体が目的ではなく、プロジェクトが本来「ゴール」と定めているものに向かって、チームを導き、成果を上げることが、プロジェクトマネジメントなんですね。
プロジェクトチームが成果を上げるためのアプローチとして、予測型、適応型、またはそれらのハイブリッドなど、幅広い方法を採用することができます。
予測型アプローチは、プロジェクトの開始時にプロジェクトのゴールが明確で、あらかじめ情報収集と分析ができる時に有効です。ウォーターフォール型とも呼ばれます。
プロジェクトが始まって終わるまでの全体的なスケジュールを予測し、それに基づいてゴールに向かって進んでいくアプローチです。
まず、プロジェクトのための作業全てを分解し、順序を決定します。そして、それぞれの仕事がの依存関係や、どれくらい時間がかかるのか、人手が必要なのかを見積もります。スケジュールが合意できるまで調整を繰り返します。こうすることで、プロジェクトのはじめから終わりまでの全体のスケジュールを作成し、仕事を進めていきます。
例えばプロダクト開発の場合、全ての機能を洗い出し、はじめから終わりにかけて、いっきに機能を作っていくようなイメージです。
適応型アプローチは、プロジェクトのゴールが不明確で、プロジェクトの期間を通して要求事項が変わる可能性が高い時に役に立ちます。
プロジェクト全体を複数のサイクルに分割し、ひとつのサイクルごとにプロジェクトにとって価値のある仕事を少しずつ実現していきます。 例えばプロダクト開発の場合は、ひとつのサイクルの中でいくつかの機能が追加されるようなイメージです。アジャイル型とも呼ばれます。
ハイブリッドアプローチとは、予測型と適応型を組み合わせたものです。プロジェクトの要求事項が不確かなときに役に立ちます。例えば、プロジェクトの成果物に、予測型アプローチを作って開発されるものと、適応型アプローチを使って開発されるものの2つがあるプロジェクトなどです。
プロジェクトと、プロジェクトマネジメントの定義について見てきました。それでは、プロジェクトマネージャーとはいったいなんなのでしょうか。
母体組織によって任命された人で、プロジェクト・チームを率いてプロジェクト目標を達成する責任を負う。
プロジェクトマネジメントが「プロジェクトをゴールに導くこと」であったので、プロジェクトマネージャーは「プロジェクトをゴールに導く人」と言えますね。会社や組織に任命された人で、責任を負う人、と強めの言葉で定義しています。
プロジェクト・チームの作業を定義して推進し、ゴールに向かうためにそれぞれのプロセスをマネジメントするなど、さまざまな職務を遂行するの人です。
プロジェクト、プロジェクトマネジメント、プロジェクトマネージャーの定義から「プロジェクトマネジメントとは何か」をみてきました。得体の知れない「プロジェクト」というものが、なにかコントロール可能な具体的なものに感じられてきたのではないでしょうか。
プロジェクトを進めるのは「人」です。プロジェクトマネージャーも「人」です。人が仕事を進める限り、それは不確実で予測不可能なものです。「プロジェクトは計画通り行かなくて当たり前」という前提で、それでも仕事を前に進めるために活動することが、プロジェクトマネジメントなんですね。